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豪華キャストで話題を呼んだ映画「64(ロクヨン)」(2016年、主演・佐藤浩市)。
本作は、原作・横山秀夫著「64(ロクヨン)」の映像化作品であり、昭和64年の7日間に起きた未解決事件(少女誘拐殺人事件)に起因する、多くの人間のその後の人生を描いた傑作ミステリ。前編と後編の2部作で完結しています。
原作・横山秀夫の作品を映像化したもので、以前、映画「クライマーズ・ハイ」(主演・堤真一)を鑑賞しましたが、現場の臨場感があり、横山秀夫作品の映像化は力作になることを実感しました。
本作もそういう心持ちで鑑賞することができるのではないかと思います。ただ、昭和の雰囲気と現実感のある演出のNHKドラマ版「64(ロクヨン)」(2015年、主演・ピエール瀧)とは異なり、本作はどこか非現実的で演出が華美なイメージを受けます。
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信念と疑念の狭間で揺れ動く何か
終始警察とメディアの軋轢が鮮明に描かれ、特に強硬的な記者・秋川(瑛太)が際立っているため、県警広報VS記者クラブの印象が強烈に残ります。
幹事社として諸々の情報開示を求める秋川と、警察組織内部の事情により隠蔽を余儀なくされる三上の駆け引きも見どころの一つ。
また、キャリア組の県警本部長(椎名桔平)、警務部長(滝藤賢一)の人物像がスパイスを効かせている点も、警察組織像を程よく印象づけています。
どの組織にも大なり小なりあることですが、縦割り組織の中で、三上のように組織を跨いで正義を貫けるかというと、現実的にはなかなかできません。組織の中で板ばさみになりながらも、上層部への疑念と、真実を追い求める信念の狭間で押しつぶされない三上には感服します。
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64に始まり、64に終わる
64に始まり64に終わる本作は、間違いなく大作です。ラストシーンが映画バージョンになっている点も、映像版のテコ入れとして認められるのではないでしょうか。
ミステリの中にも、事件の背景にある人間ドラマ、警察組織内部の縦社会、上司・部下・同期との人間関係、家庭で抱える親子間の問題など、それぞれがストーリーに密接に絡み、緻密に構築されたプロットであることがうかがえます。
受け取り方は人それぞれで、演出や脚本に賛否はあって然るべきですが、原作・横山秀夫の映像化作品は今後も鑑賞していきたいと感じます。
written by 空リュウ
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