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WOWOW連続ドラマW「5人のジュンコ」(2015年、主演・松雪泰子)は、原作・真梨幸子の同名小説を映像化した作品です。
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イヤミス※の書き手として知られる同著者の作品で、「殺人鬼フジコの衝動」に続く映像化作品ということで話題になりました。
※「読後、イヤな気持ちになるミステリ」の略称・俗語。
全体の流れとしては、ジャーナリストである田辺絢子(松雪泰子)を中心に、登場する5人のジュンコそれぞれのパートでストーリーが展開されていく構成。5人のジュンコのうち、佐竹純子(小池栄子)が起こしたとされる事件は、実際に起きた首都圏連続不審死事件がモチーフになっているようです。
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見えない何かでつながる「5人のジュンコ」
原作のテーマになっているバタフライ効果(エフェクト)は、「些細なことが後に大きな影響を及ぼすに至る連鎖的な相関」を描写しています。これが本作でいう「ジュンコ」という名。そして、ジュンコという名でつながるその相関はすべて負の連鎖です。
登場人物の「5人のジュンコ」は、人にはいえない闇を抱えている女性たち。その5人のジュンコの心の深淵へ切り込んでいく描写が脳裏に刻まれます。
5人のジュンコをつなぎ、展開の起点となっているのがジャーナリスト・田辺絢子。その田辺絢子は過去に起きたある事件をきっかけにノンフィクション作家・久保田芽依(渡辺真起子)に従事しています。
第1話冒頭で描写されていますが、展開していくうえでキーパーソンになっているのが、連続不審死事件の被疑者(容疑者)・佐竹純子です。田辺絢子も佐竹純子が関与したとされる事件を追っています。佐竹純子を演じる小池栄子は、5人もの命を奪ったとされる不気味な悪女を立体的に映し出すことに成功しています。
そして、佐竹純子の過去をたどっていくうえで浮上してくる中学時代の同級生・篠田淳子(ミムラ)も強い個性を放っています。ミムラの怪演も小池栄子に引けを取らないため、密接に絡む関係であることからも、この二人がとりわけ強烈な印象を与えています。
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5人のジュンコの心の深淵に潜む闇
それぞれのシーンで描かれている女性ならではの心理描写とその演出は、5人のジュンコの心の深淵に潜む闇を鋭く映し出しています。5人のジュンコを演じたキャストそれぞれが、インタビューでも“女の怖さを感じた”と語っているように、ジュンコの心の闇を察したとき、戦慄が走るような感覚を覚えるかもしれません。
彼女にさえ出会わなければ、全然違った人生を送ってたはず
5人のジュンコのうち、誰かが発するセリフですが、いずれの身に置き換えても成立する含みがあります。
原作のエピソード5とエピソード0で真相に迫っている、“佐竹純子と篠田淳子の過去”についても本作の最終話で描写されていますが、その相関は陰鬱としています。
エンドクレジットの含みのある演出からも、おそらく真相はこういうことだろう、という導きがうかがえます。個人的には、仮に続編が制作されるならぜひ観てみたいと思える作品です。
“キャストインタビュー”
~印象深かったコメント(抜粋)~
「5人のジュンコ」の魅力について
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松雪泰子(田辺絢子役)
人間の悪意。その暗部が様々な形で、それぞれのキャラクターで表現されていくのが非常にリアリティーがあって、だからこそぞっとするというようなものなので。のぞき見をするような感覚で見ると非常に楽しめるのかな。この中にはいたくないと思いましたけど。怖くて。
小池栄子(佐竹純子役)
やっぱ、女が主役ってとこじゃないですか。ここまで強烈なキャラクターの女性たちが、ぶつかりあってくのは、同姓は特に好きだと思いますね。誰かしらのジュンコに自分を重ね合わすことができるし、男性は女って生き物は恐ろしいもんだなって思うと思いますし。でもそれぞれのジュンコに女の本質ってものがちゃんと散りばめられていて、愛らしくもあり、女同士の会話って面白いですよね。これは男の人には理解できない女の業みたいなものが、ウズウズしてる感じになっていますよね。
written by 空リュウ
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