【小説】綾辻行人「迷路館の殺人」を読んだ感想・私見(考察)

綾辻行人-迷路館の殺人-感想・考察

1988年に刊行された綾辻行人「迷路館の殺人」。

本作は綾辻行人作品でシリーズ化されている、“館シリーズ”の3作目にあたります。

本作の舞台は、同作家デビュー作「十角館の殺人」からの流れを受け、建築家・中村青司が手がけたとされる“迷路館”。

「十角館の殺人」はアガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品ですが、“クローズドサークル”と“見立て殺人”については、本作「迷路館の殺人」も同様のプロットを踏んでいます。くわえて、本作には作中作(“作中作中作”含む)を用いて新味をブレンドさせています。

そして、作中作では明かされていない真相に迫る巧妙な“叙述トリック”。

以下は、「迷路館の殺人」の作中で幾重にも張られている伏線を推考するため、あくまで読了前提としてネタバレで考察しています。

作中作の見立て殺人、緻密なプロットの力作「迷路館の殺人」

本作の根幹となっているプロット“作中作”は、作中でいう鹿谷門実のデビュー作「迷路館の殺人」です。同作は鹿谷自身が渦中の人物として巻き込まれた連続殺人事件を題材にしたもの。

推理作家・宮垣葉太郎邸“迷路館”で起こった連続殺人事件は、宮垣に招待された作家4人(と秘書)が被害者となった事件ですが、この4人を遺産相続の資格対象者とした“創作コンテスト”が事の発端となっています。これを基として、犯人の動機がひも付けられ、叙述トリックが形成されています。

本編が作中作であることから、プロローグとエピローグがそれぞれの立ち位置で作中作との相関を担い、のちに明かされる伏線回収の精度を高めています。とりわけ、エピローグで事件の真相に迫っていく島田兄弟の推理談義は、フェア・アンフェアという境界も提示しつつ、作中作と(プロローグとエピローグを含む)本作を両立させています。フェア・アンフェアに言及しているのは書き手の矜持かもしれません。

クローズドサークルの舞台で仕掛けられた見立て殺人

綾辻行人-迷路館の殺人-感想・考察

ギリシャ神話を引用した各部屋の名称と、“作中作中作”の冒頭を描写した見立て殺人。いずれも書き手の趣向が織り込まれた、本作には欠かせない要素となって描写されています。

須崎につづき、清村、林が殺害され、最後に舟丘が殺害されるという見立て殺人の構図。林殺害時のダイイング・メッセージ、舟丘殺害時の密室など、読み手を揺さぶる伏線が随所に張られつつ、作中作だけでも事件の経緯は容疑者・宮垣で一応完結しています。ただ、綾辻作品らしく、本作にはもうひとつ別の衝撃がエピローグに用意されています。

第四章「第一の作品」の須崎殺害について鹿谷が推理する、“犯人の身体から流れ出た血痕を隠蔽する必要があった”という「ミノタウロスの首」の見立て殺人。

これが作中作の第一の殺人であるのと同時に、エピローグで島田勉が指摘しているように、事件の真相究明への転換点となる鍵にもなっています。

「という具合にね、いったん疑ってかかってみると、ある一点を転換のポイントとして、この事件はまったく異なる解釈が可能になってくる。~ 中略 ~」
「その『ある一点』というのは何なんでしょう」
「犯人は何故、須崎昌輔の首を斧で切る必要があったのか」
 島田が云うと、鹿谷は顎の先をゆっくりと撫でながら、
「さすがですね」
と微笑んだ。
「で、その答えは?」
「作中ですでに述べられているとおりさ。現場を汚してしまった自分の血の痕を隠すためだろう」

講談社文庫<新装改訂版> エピローグ P435抜粋

作中作とプロローグ&エピローグの相関

綾辻行人-迷路館の殺人-感想・考察

本作がある意味力作といえる要素が、作中作とプロローグ&エピローグの相関にあります。その相関は書き手の熱量が伝わってくるような力感があります。

前述のとおり、作中作だけでもミステリ作品として完結していますが、エピローグに用意されている真相に迫る推理が本作の肝。

エピローグの地の文で描写されている、“意図して曖昧に描写されているある人物の「性別」”。これが叙述トリックに絡む連続殺人事件の真犯人説となっています。

どうしてこの小説では、ある作中の人物について、故意に読者の難解を招くような記述がなされているのか。
 ~ 中略 ~
「白いスーツでも着こなせば、若い頃は“美青年”で通用しただろうなと思わせる」といったきわどい表現もあるが、この人物の性別に関する描写は総じて、どちらとも取れる曖昧な書き方で済まされているのである。

講談社文庫<新装改訂版> エピローグ P439抜粋

エピローグで語られる物的証拠のない推理は、伏線を回収する役割を担っていることはいうまでもないものの、作中にもあるようにフェア・アンフェアについてかなり意識しているように感じます。

個人的には、「十角館の殺人」ほどの衝撃は得られませんでしたが、本作「迷路館の殺人」は、書き手の趣向と力感あふれるプロットを十分に堪能できる作品です。

written by 空リュウ

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫) 綾辻 行人
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【小説】殊能将之「ハサミ男」を読んだ感想・私見(考察)

殊能将之-ハサミ男

殊能将之デビュー作「ハサミ男」(1999年刊行)。本作は同年第13回メフィスト賞を受賞し、さらに同年「このミステリーがすごい!」の9位にランクインしています。2005年には主演・豊川悦司、麻生久美子で映画化もされました。

本作は叙述トリックの傑作選で必ずといっていいほどピックアップされている一冊。

“わたし”の視点で進行する一人称の章が際立ち、“わたし”のサイコパスな行為が読み手の心理を翻弄します。ハサミ男の犯行を模倣する第三の殺人、その真相を暴くためにシリアルキラーが探偵役をこなすなど、叙述トリック以外の稀有な設定が本作のおもしろさを助長させています。

本作を考察するうえでネタバレは避けられず、以下はあくまで読了前提の私見です。

性別をミスリードさせる叙述トリック「ハサミ男」

作中ですでに二件発生している女子高生広域連続殺人事件。この二つの事件はいずれもハサミ男の犯行であることを“わたし”が明かしていますが、(“わたし”の犯行ではない)第三の殺人事件を“ハサミ男当人が発見する”という件からストーリーが展開されています。

叙述トリックの傑作という肩書きから無意識に身構えてしまいがちですが、まずはタイトルそのものが伏線。察しのいい読み手は、このタイトルからすでに何らかの準備をしているはずです。

プロローグ的な位置づけからはじまる(数字の章の)一人称“わたし”は、ハサミ男の視点です。読み進めるうちに自ずと感じるのが、「“わたし”の性別を明かさない」という点。ここに違和感を抱いてしまうので、おそらく「性別」がこの叙述トリックの肝なのだろうと早々に推察できます。

多重人格の“わたし”が担う探偵役

殊能将之-ハサミ男

精神障害を抱え、幾度も自殺を試みる“わたし”。そしてその内に時おり現れる“医師”。

エピローグを担う27章に、医師に関連する描写がみられますが、この医師は“わたし”の父親を投影した幻覚であると推察できます。

「いかん、ライオス王のお出ましだ。ぼくはあいつが苦手でね。このへんで失礼するよ」
 医師は自分の部屋へ帰っていった。
 すると、不思議なことに、看護婦に連れられて、病室の入口からふたたび医師がやってきた。
 いや、違う。医師にそっくりだが、医師とは別人だった。
 ~ 中略 ~
あまり親に心配をかけるものじゃない、と医師そっくりの男は言った。
 ~ 中略 ~
おまえが母さんのことで、まだこだわりを持っているなら……。

講談社文庫 27 P498抜粋

父親らしき人物との会話として描写されていますが、別人格の意思は、つまり、当人の潜在意識。“わたし”の過去に、家庭内の不和によって、精神障害を引き起こす何からの事象が発生していると推察できます。

多重人格の障害に悩まされる“わたし”は、この医師の“お告げ(潜在意識)”によって第三の殺人の真犯人を追い求めることになります。

第一、第二の殺人事件のシリアルキラー“わたし”が、ほかの誰かが犯したハサミ男(の犯行)の模倣犯を追う探偵役に──。この着想は、スリリングな展開がはじまることを読み手に印象づけることに成功しています。

読み手は、「(一人称の)“わたし”は日高なのか」という点と、「第三の殺人の真犯人が誰なのか」という点の二つの疑念を抱きながら読み進めることになります。

一人称の“わたし”の性別は──

殊能将之-ハサミ男

“わたし”の性別は男なのか、または女なのかについては、一人称の“わたし”の章にいくつかの伏線が張られています。

穿った見方をしなくとも、素直に受けとれば、これはむしろ女ではないかと推察できる部分。

 見れば見るほど、きれいな子だった。
 わたしから見ても美人だと思えるくらいだから、同世代の男子生徒には、さぞかしもてることだろう。
講談社文庫 5 P49抜粋

女性目線の描写と受けとったほうが自然で、逆に日高の目線と考えたほうが違和感があります。そして、伏線ともとれる立ち位置の人物に岡島部長がいます。

 岡島部長はあいかわらず頬づえをついて、窓の外の曇り空をながめていた。わたしが近づくと、視線はそのまま、
「このうっとうしい天気はいつまでつづくんだろうねえ」
と、つぶやくように言った。
 岡島部長は五十代の女性だった。
講談社文庫 2 P21抜粋

“わたし”がバイトしている氷室川出版の編集部岡島部長は女性ですが、この人物も性別を明かさなければ男女どちらともとれる口調が続いています。

プロローグ的な段階で、この人物を女性として立てることで、のちに“わたし”が安永知夏、すなわち女であることを明かしても違和感を覚えない役割を担わせているのかもしれません。

また、週刊アルカナ編集部の黒梅(女性)の言葉も伏線になっています。

 寒風の吹きすさぶ店外に出ると、黒梅はわたしをじろじろ見つめて、
「ねえ、あなた、いつもそんな格好なの?」
 いきなり、そう言った。なんとも、ずけずけとものを言う女だ。
 わたしは自分の服装を見なおした。手編み風セーターにジャケット、ジーンズ、スニーカー。
「そうだけど、変かな」
「まあ、悪くはないけど」
 黒梅はわたしを上から下まで品さだめすると、
「もう少し、おしゃれしたほうがいいんじゃない?」
講談社文庫 14 P233、234抜粋

“わたし”が男でも成立する会話ですが、どちらかというと、女同士の会話と受けとったほうが自然に思える部分です。のちに明かされる、“安永知夏=美人”という設定からも、このときの黒梅の心情は理解できる範疇でしょう。

客観的事実を示す三人称の章に隠された真実

殊能将之-ハサミ男

一人称で描写されているハサミ男の視点の章とは異なり、全十四章から成る本編は、捜査に奔走する警察組織を俯瞰で描写し、客観的事実を示す三人称で進行しています。本編の地の文は、いわゆる“信頼できるはずの描写”です。

ハサミ男が誰であるかを明かさないのは叙述トリックによるものですが、ストーリーの本筋である第三の殺人のトリックは本格ミステリのカテゴリ。

第三の殺人はいったい誰の犯行によるものなのか。

ハサミ男が第三の標的として追っていた女子高生・樽宮由紀子が、他の誰かによって(ハサミ男の犯行であるかのように)偽装工作して殺害され、偶然ハサミ男当人が遺体の第一発見者になるというのが本作のプロット。

ハサミ男の犯行を装って私怨をはらした真犯人が、実は警察組織内部の者、それも指揮をとる側の警視正・堀之内による犯行だったというのは、読み手にインパクトを与えるには十分なトリックです。

求めてしまうのはその相関と動機ですが、樽宮由紀子は複数の男性と関係があって堀之内はその一人、そして動機が恋愛のもつれによる報復というもの。この設定が安易すぎて、個人的にはもの足りなく、やや尻すぼみな印象。

以下はエピローグ的な役割を担う一人称の章のラスト(27章)ですが、堀之内、磯部、安永知夏が対峙するシーンで、堀之内がハサミ男の正体を明かさないまま自決するのは、“安永知夏の次の犯行を仄めかして終えたい”という書き手の意図があるのだろうと推察します。

 彼女は十五、六歳くらいで、きっと老婆の孫なのだろう。髪を後ろで結んで、赤いセーターとキルトスカートがよく似合っていた。丸顔におとなしそうな微笑を浮かべている。
 とても頭のよさそうな子だった。
「きみ、名前はなんていうの?」
 と、わたしは訊ねた。
講談社文庫 27 P501、502抜粋

written by 空リュウ

ハサミ男 (講談社文庫) 殊能 将之
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【小説】アガサ・クリスティ「アクロイド殺し」を読んだ感想・私見(考察)

アガサ・クリスティ-アクロイド殺し

1926年に発表された不朽の名作アガサ・クリスティ「アクロイド殺し」。クリスティ長編作品の6作目、ポアロシリーズとしては3作目の作品です。

本作は後世に多大な影響を及ぼした名著として知られていますが、奇想天外な着想ゆえに、称賛と批判を同時に受けることになった作品でもあります。当時まだテクニックとして認知されていなかった“叙述トリック”を、クリスティ流のアイデアで衝撃のトリックとして成立させています(叙述トリックそのものは本作発表以前に先例あり)。

また作品発表後の二次的な余波もこの作品をさらに世に広めました。

ひとつは「フェア・アンフェア論争」。本作のプロットが奇抜なため、「推理小説としてフェアな要素といえるのか」という一大論争が当時巻き起こっています。アンフェア側の急先鋒S・S・ヴァン・ダインがのちに発表した「ヴァン・ダインの二十則」はあまりにも有名。そしてクリスティの失踪──。

本作の醍醐味、そして何がアンフェアといわれてきたのか、あくまで個人的な見解として、以下は読了前提のネタバレで考察しています。

“クリスティ流” 叙述トリックの名作「アクロイド殺し」

舞台になっているのはイギリスの片田舎キングズ・アボット。この村で資産家のフェラーズ夫人が亡くなったという件から物語が始まります。

わたしと姉のキャロラインのやりとりについて書き進める前に、地元の地理について、多少とも説明しておいた方がいいだろう。わたしたちの村、キングズ・アボットは、イギリスのどこにでもあるような、ありふれた村である。

ハヤカワ文庫 2「キングズ・アボット村の人々」P18抜粋

文脈からもわかるように、全編が一人称で進行していきます。一人称の主は村の医師として日々応診に勤しむシェパード医師。

このように、月曜の夜までの話は、ポアロ自信が語っているも同然だった。彼がシャーロック・ホームズで、わたしはワトスン役を務めた。

同 16「セシル・アクロイド夫人」P245、246抜粋

ポアロシリーズといえば参謀のワトソン役はヘイスティングズ大尉ですが、本作では不在(アルゼンチン在住)。代わりにシェパード医師が進行役としてワトソン役を担っています。

物語としては、「富豪ロジャー・アクロイド刺殺事件」の真相を究明していく過程が描写されていますが、シェパード医師によって語られる登場人物は、各々が個人的な思惑により何らかの秘密を抱え、事実を隠しています。

ポアロシリーズの真骨頂といえば、会話の中から導き出されるポアロの推理。ときおりポアロが発する「灰色の脳細胞」というセリフも、推察することの重要性を推したユーモアのひとつ。それによって明らかにされていく真実は、張り巡らされた人物相関の伏線を徐々にひも解いていきます。

一人称の語り=「全27章の手記」

アガサ・クリスティ-アクロイド殺し

物議をかもしたという点で特筆すべきは、語り手シェパード医師の一人称。

見出しなどで明確に掲示されていないため、読み手としてはシェパード医師の語り(一人称)という見地で物語が進行していると思い込むはずです。しかし、実は本作の地の文そのものがシェパード医師が書き上げた手記だったという設定。

つまり、本作そのものが手記。解説でも述べられていますが、読み手のほとんどはそれに気づかず23章(またはラスト)まで読み進めるでしょう。

ホームズとワトソンの関係、つまり探偵役と進行役(語り手)が存在し、進行役は手記として綴っているというセオリーを承知していれば、本作のそれも見抜けるのかもしれません。

たしかに作中で「書き進める」という描写がありますが、それはシェパード医師の行為を示すものだと思い込むはずです。これは書き手(作者クリスティ)側からすると、狙ったとおりのミスリードということになります。

フェア・アンフェア論争にも直結しますが、全編がシェパード医師の書いた手記ということになると、ディクタフォン(録音機)を使ってアリバイトリックを仕掛け、犯行を隠蔽しようとしている当人が“すべてを書き記すはずがない”という設定もアリということになります。

“信頼できない語り手” シェパード医師

アガサ・クリスティ-アクロイド殺し

現在では類似作品も多いものの、本作が発表された当時は叙述トリックそのものの地位が確立されておらず、侃々諤々の議論がなされたであろうということは容易に想像がつきます。

「一部を曖昧にしたが嘘は書いていない。すべて事実である」という見地も、読み手としては額面通り受け取ることはできず、“信頼できない語り手”という位置づけになります。

地の文に「客観的な事実」が書かれているという保証はなく、探偵役が犯人を突き止める前に、読み手が犯人を推理するための十分な材料が提供されているとはいえません。これらを総合するとアンフェアであるという主張は至極当然です。

ただ、フェア・アンフェアに関わらず、「“アクロイド殺し”は面白い」ということに変わりはありません。フェアに描写すればそれが面白い作品になるのか、という疑問も頭をもたげます。結局のところ、批判されようが論争を巻き起こそうが、面白い作品は評価されてしかるべき。のちに発表されている「オリエント急行の殺人」「ABC殺人事件」よりも「アクロイド殺し」のほうが読後感が強く残ります。

叙述トリックの“コロンブスの卵”は、色あせることなく、後世に語り継がれる名作であるということは疑いのない事実でしょう。

個人的には、“シェパード医師が犯人だったとしたら”という見立てで読み進めたので、“実は全編手記だった”という設定のほうにインパクトを受けた作品です。

written by 空リュウ

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫-クリスティー文庫) アガサ・クリスティー
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【WordPress】独自ドメインでレンタルサーバ移行(さくらからさくら)

WordPress・ドメイン移行-高速レンタルサーバ-さくらインターネット

以前から改善の必要があったPageSpeed Insightsの分析結果。さくらインターネットから高速化対応レンタルサーバ(PHPモジュールモード版)のリリース案内が届いたので、契約更新を機にサーバの移行を実行しました。

独自ドメイン(soraryu.com)で運用しているので、ドメイン移行やSSL解除(再設定)の作業も含めて「さくらインターネット旧レンタルサーバ」から「さくらインターネット高速化対応レンタルサーバ」へ引っ越し。

以下は作業備忘録です。

WordPress(独自ドメイン)をさくら高速化対応レンタルサーバに移行

Speed Updateが導入されたことによって、ページ表示速度が検索ランキング要素の対象となっています。極端に表示速度が遅い場合のみ影響を受けるようですが、とはいえ今後はこの項目もメンテナンスが必要。

まずは結果から。移行前と移行後のスクリーンショット。

(注)2018年11月、分析エンジンにLighthouseが採用され、それ以降は検証結果が下記とは異なります。

移行前(旧レンタルサーバ)のPageSpeed Insights分析結果

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

移行後(高速化対応レンタルサーバ)のPageSpeed Insights分析結果

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

PC約25%上昇、モバイル約50%上昇

PCは25%程度の上昇ではあるものの、モバイルは倍の上昇値。これは移行して良かったと思える結果。

以下は作業手順。

(1)さくらインターネット「高速化対応レンタルサーバ」を申し込み

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

・移行先の「高速化対応レンタルサーバ」を新規申し込み

まずは、さくらインターネットWebサイトから、(移行先の)高速化対応レンタルサーバを申し込み(初期ドメイン「http://*****.sakura.ne.jp/」は既存と同じものは申し込めないので、任意の新規文字列)。

2週間は無料期間のため、申し込み後の管理画面(会員ページ)では「申込中」の表記。

申し込み完了後、管理画面から「クイックインストール」でWordPressをインストール。

(2)プラグイン「All-in-One WP Migration」を使ってデータをエクスポート

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

・プラグイン「SAKURA RS WP SSL」を停止
・移行元(旧レンタルサーバ)の最新データ一式をエクスポート

試行錯誤した結果、プラグイン「All-in-One WP Migration※」を使ってデータ移行する方法がベターと判断。その名のとおり、データベースを含めて一式を移行可(バックアップツールとしても併用可)。

All-in-One WP Migrationをインストール(有効化)後、エクスポート前に、プラグイン「SAKURA RS WP SSL」を停止(停止せずエクスポートした場合、インポート時エラー発生の報告あり)。停止後、移行元(旧レンタルサーバ)の最新データ一式をエクスポート。

All-in-One WP Migration利用手順は、メニューの「エクスポート」→エクスポート先の「ファイル」を選択で、エクスポート開始。完了後、ダウンロード。

※無料版でインポートできるのはデータ容量512MBまで。容量を抑える場合は、エクスポート時「高度なオプション」→「メディアライブラリをエクスポートしない」にチェック。メディアファイルは別途FTP等でローカルにダウンロード(保存)し、手動で移行先の wp-content/uploads 配下にアップロード。

(3)プラグイン「All-in-One WP Migration」を使ってデータをインポート

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

・最新データ一式を移行先(高速化対応レンタルサーバ)にインポート
・WordPress管理画面でパーマリンクを2回設定

移行元(旧レンタルサーバ)からエクスポートした最新データ一式を、移行先(高速化対応レンタルサーバ)にインポート。

インポート完了後、「Permalinks Settings」→移行元※(旧レンタルサーバ)のWordPress管理画面にログイン→パーマリンク設定「変更を保存」→パーマリンク設定「変更を保存」(計2回)を実行。

※データをインポートする前にドメインを移行した場合は、ドメイン浸透後、移行先(高速化対応レンタルサーバ)のWordPress管理画面にログイン→パーマリンク設定「変更を保存」(計2回)。

(4)旧レンタルサーバからドメインを削除(SSL設定解除含む)

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

・(旧レンタルサーバの)SSLを設定解除後、ドメイン削除
・2時間経過後、移行先(高速化対応レンタルサーバ)にドメイン設定

ドメイン削除(移行)にあたり、旧レンタルサーバ管理画面からSSLを設定解除(SSL設定状態でドメイン削除は不可)。

SSL設定解除は、旧レンタルサーバ管理画面「ドメイン/SSL設定」→(該当ドメインの)「変更」→「共有SSL、SNI SSLを利用しない」にチェック→「送信」。SSL設定解除後、「ドメイン/SSL設定」→(該当ドメインを)「削除」。

ドメインを削除したあと、“2時間経過※”後、移行先(高速化対応レンタルサーバ)にドメイン設定。

※2時間経過せず設定した場合、ドメインがロックされてサポート対応案件になり、Not Foundのまま数日経過したという報告あり(2時間以内でも設定できたという報告も)。

(5)(2時間経過後)高速化対応レンタルサーバにドメインを設定

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

・(高速化対応レンタルサーバ管理画面の)該当項目からドメインを追加(送信)
・(管理画面内)データベースの各項目とwp-config.phpの記述を照合

2時間が経過したあと、高速化対応レンタルサーバに該当ドメインを追加※。

※当該ドメイン(soraryu.com)はさくらインターネットで取得したドメインのため、比較的浸透が早かった感。

移行データ(wp-config.php)内記述を、移行先(高速化対応レンタルサーバ)データベースの情報に書き換え。

「(高速化対応レンタルサーバ管理画面内)データベース設定」→データベース一覧の各項目(データベースサーバ[ホスト]名/データベースユーザ名/接続パスワード/データベース名)と、wp/ 配下にある wp-config.php 内の記述を照合(異なっている場合は、管理画面内データベースの記述に書き換えてアップロード)。

(6)SSL設定、プラグイン「SAKURA RS WP SSL」設定

WordPress・ドメイン移行-さくら高速レンタルサーバ

・ドメイン浸透後、SSLを設定
・SSL設定後、プラグイン「SAKURA RS WP SSL」を設定

ドメインの浸透を確認できたら管理画面からSSLを設定。「ドメイン/SSL設定」→(該当ドメインの)証明書「登録」→「無料SSLの設定へ進む」→「無料SSLを設定する」。

さくらインターネットよりSSL設定完了のメールが届いたあと、プラグイン「SAKURA RS WP SSL」を設定。WordPress管理画面より「SAKURA RS WP SSLを有効化」→「設定」→「SAKURA RS WP SSL」→「共有SSLを設定している~」「SNI SSL/共有SSL」「実際にSSLを利用して~」にチェック→「SSL化を実行する」。

設定完了後、Webサイトで動作チェック。問題が発生していなければ作業は以上。

トラブルシューティング

以下は不具合発生時に試みたトラブルシューティング。

・移行先でインポート後エラー発生

2つのドメイン(およびデータ)を同時に移行したが、一方は問題なく一方はエラーが出たため、移行先(高速化対応レンタルサーバ)でドメイン浸透後、再度All-in-One WP Migrationでデータ一式をインポート。これによりエラー解消。

・TOPページ以外Not Found

.htaccess内の記述を以下に変更することで解消(3行目、7行目)。

1│ <IfModule mod_rewrite.c>
2│ RewriteEngine On
3│ RewriteBase /
4│ RewriteRule ^index\.php$ – [L]
5│ RewriteCond %{REQUEST_FILENAME} !-f
6│ RewriteCond %{REQUEST_FILENAME} !-d
7│ RewriteRule . /index.php [L]
8│ </IfModule>

・「Service Unavailable」エラー

All-in-One WP Migrationで2回バックアップファイルを生成した直後、Service Unavailable(503)エラーが発生。All-in-One WP Migrationのアクセス転送量が原因か。以下の作業手順で即時解消。

さくら管理画面ログイン→「リソース情報」→リソースブースト「有効にする※」

※有効期間は3日(2日後の24時まで)。次回使用可能日は14日後。

written by 空リュウ

【小説】綾辻行人「十角館の殺人」を読んだ感想・私見(考察)

綾辻行人-十角館の殺人-感想・考察

1987年に刊行された綾辻行人デビュー作「十角館の殺人」。

本作は当時、“新本格ブーム”なる本格ミステリの先駆けとして多大な影響を及ぼしたといわれています。クローズドサークル(外界との連携が絶たれた状況)の舞台設定で、ミスリード必至の叙述トリックが仕込まれている傑作。

作中でもふれられていますが、本作はアガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品です。同作も読むとすれば、順序としては、「そして誰もいなくなった」を読了後、「十角館の殺人」を読むほうがより醍醐味を味わえます。

本作冒頭で以下の献辞があるように、先人に敬意を払っていることは言うまでもありません。

──敬愛すべき全ての先達に捧ぐ──

綾辻行人-十角館の殺人-感想・考察

アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」は1939年に刊行された作品。

トリックそのものは衝撃を受けるようなものではないものの、クローズドサークルとなった孤島で、マザーグース(伝承童謡)の一つ“10人のインディアン”の見立て殺人が展開されるというプロットが秀逸です。集められた10人にはそれぞれ背負う過去があり、殺人が起きるたびに10体の人形が一つずつ減っていくという演出も不気味さがあって妙味。

80年の時を経ていますが、今もなお愛読されている不朽の名作です。「十角館の殺人」以外にもオマージュ作品として著名な作品が数多く存在し、後世に影響を及ぼし続けている偉大な作品といえます。

以下は、「十角館の殺人」の叙述トリックを推考するため、あくまで読了前提としてネタバレで考察しています。

クローズドサークルの死角をついた叙述トリック「十角館の殺人」

舞台は外界との音信を絶たれた孤島“角島”。本作のクローズドサークルは、K**大学ミステリ研究会のメンバー7人が外界との連絡を絶って角島で7日間を過ごすというもの。

孤島が舞台になっている点は、「そして誰もいなくなった」と同じ設定です。「十角館の殺人」の舞台“角島”は作中で大分県の離島と描写されていますが、この角島のモデルは、大分県大分市に実在する“高島”といわれています。

この孤島“角島”でミステリ研究会のメンバーの身に降りかかるのが見立て殺人。童謡などの掲示はありませんが、“被害者(1~5)”、“探偵”、“殺人犯人”からなる7枚のプレートは、オマージュ作品であることからも不気味さと緊張感を助長するうえで不可欠な要素となっています。

そしてクローズドサークルを掲示された場合、その中に犯人が存在することを疑うのが王道。ただ本作の場合、その範疇でありながらも、トリックの重要な役割を担っているのが“ニックネーム”。そして“島”の章と隔てて描写されている“本土”の章です。それぞれ読み手をミスリードさせる役割を担い、クローズドサークルの死角をついた驚愕のトリックを成立させています。

“ニックネーム”が担うミスリード

綾辻行人-十角館の殺人-感想・考察

本作の叙述トリックで切っても切り離せないのが、メンバー同士をニックネーム(欧米のミステリ作家が由来)で呼び合うという設定。

展開順が肝になるため、まず先の“島”の章で、ミステリ研究会メンバーの本名を明かさないままニックネームのみで展開していき、後の“本土”の章では登場人物の本名を明かして展開しています。これによって、読み手は、ミステリ研究会に携わった人物は“ニックネームで呼び合う”という先入観をもちます。

先入観をもったまま後の章の“本土”を読み進めるため、島田のセリフで追い打ちをかけられたことに違和感を覚えません。

「江南君か。うん、いい名前だ」
組んだ手をそのまま頭の後ろにまわして島田はまたそう云ったが、このとき彼は、江南を「かわみなみ」ではなく「こなん」と発音した。

講談社文庫<新装改訂版> 第二章「一日目・本土」P89抜粋

早々に「江南=コナン(コナン・ドイル)」のイメージをすり込まれているので、その字面から「守須=モリス(モーリス・ルブラン)」と変換するのが自然な流れ。読み手が作家の名前を知っているかどうかは別として、“モリス”に類するニックネームに自動変換させるのが書き手の狙いです。

のちのち明かされますが、角島に渡ったミステリ研究会メンバーの本名(山崎、鈴木、松浦、岩崎、大野、東)と、本土にいるミステリ研究会メンバーの本名(江南、守須)が、いかにも異なるテイストで設定されています。

カタカナのニックネームは本作の重要なプロットではあるものの、偉人風のニックネームで呼び合われるのは、正直なところ個人的には苦痛な設定。本作におけるキラーコンテンツではありますが、ともすると脱落しかねない諸刃の剣にも感じます。

“本土”の章が担うミスリード

綾辻行人-十角館の殺人-感想・考察

本作のプロットのうち、読み手の意識をクローズドサークルからそらせて、驚愕のトリックを成立させる位置づけを担っているのが“本土”の章です。

探偵役の島田と河南を泳がせることで、角島で過去に起きた四重殺人の犯人の影を仄めかし、中村青司生存説や吉川誠一生存説、または中村紅次郎真犯人説をちらつかせています。

相乗して、中村青司を名乗る怪文書も、読み手の意識をそらせる効果を担っています。

これらが本筋でないことはすぐにわかりますが、あくまで可能性という点で、“島”の章でもエラリイが中村青司生存説を訴え始めるという流れをつくっています。

そして“本土”の章が担うもっとも重要な役割は、守須という人物を存在させること。読み手は“本土”の章の展開が何を意味しているのかわからないまま読み進めるため、探偵役の島田と河南の動向に振り回されるはずです。

叙述トリックとしてのインパクトが絶大なぶん犯行の動機に関心が募りますが、この点はやや物足りないというのが率直な印象。動機にも直結する当人同士の関係は作中では伏せられたまま展開され、“八日目”の章で、犯人の独白によって動機と犯行の経緯が語られています。

この独白はいわゆる「そして誰もいなくなった」でいうところの、“壜”に詰めて海に投じられた“犯行手記”。ディテールを明らかにすることで違和感を覚える部分、とりわけ“五日目”の章でアガサが殺害される一幕──が少なからず出てきますが、そこは同作に対する書き手の敬意でしょうか。

また、プロローグとエピローグでは、犯人の(犯行前の)心情と終局の一幕がつづられています。この必要性がいま一つ消化できていませんが、重要なのは「そして誰もいなくなった」と同様に、“ディテールにこだわるのではなく、秀逸なプロットを堪能する”ことなのだろうと思います。

written by 空リュウ

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫) 綾辻 行人
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そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫-クリスティー文庫) アガサ・クリスティー
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【バッシュ】アンダーアーマー「ネクスト二ホン」の私見・評価

ネクスト二ホン-アンダーアーマー-日本人向け

アンダーアーマー製2018年春夏モデル「ネクスト二ホン」。

日本人向けのワイドラストな設計で開発され、価格帯も税込10,000~13,000円(2018年7月現在)と比較的リーズナブルに設定されています(カラーは4色展開)。

“日本人の足にフィットするストレスのないバッシュ”がどの程度のものか、購入して試走しました。以下は私見による評価です。

日本人の足に沿ったワイドラストな設計「ネクスト二ホン」

アンダーアーマーのバッシュといえばステフィン・カリーが有名ですが、Bリーグでも日本代表で川崎ブレイブサンダース所属の辻直人とパートナー契約を結ぶなど、徐々に裾野を広げる施策に取り組んでいます。

これまでアシックスユーザーで通してきましたが、GB22のデザインを見て唖然。今後のアシックスに不安を覚え、選択肢を広げるためにも、GB21が現役のうちに、アンダーアーマーのバッシュにチャレンジすることにしました。

個人的にもともと甲の幅が広いので、ネクスト二ホンを一目見て、このワイドな設計が自分には合っているだろうと感じたのが購入のきっかけ。

ワイドラストな設計が生むフィット感

ネクスト二ホン-アンダーアーマー-日本人向け

日本人に向けて専用設計されたラストは、見た目そのままにかなりワイドに映ります。TPUコーティングを施した糸で編まれたアッパーは柔軟性と通気性があり、かつ丈夫な印象を受けます。

メッシュ仕立てのアッパーの場合、使い込むうちに擦れて破れてしまいそうですが、ネクスト二ホンのアッパーはTPUコーティングによって強度が増している感じ。

初めて足を通したときの印象は、そのフィット感。無駄な隙間がなく、足にぴったりフィットしている感じがしました。馴染むまで少し時間がかかるかなと想像していましたが、なるほどストレスを感じることはありませんでした。

メーカーサイドもこの点をアピールポイントとして提示しています。

  • TPUコーティングを施した糸で編むことで、フィット、通気性、軽量性というニットアッパーの特性に加え、サポートを提供する
  • 日本人向けのラスト採用:前足部をやや広めに設計し、甲周りは余分な隙間を排除したラストを採用
  • ストレスのない快適なフィットを提供するとともに、シューズ内での足ズレを抑制し素早い動きを実現する

次の一歩を生成するクッショニング&グリップ

ネクスト二ホン-アンダーアーマー-日本人向け

プレイヤーのパフォーマンスを左右するといっても過言ではないクッション性とグリップ力。

ネクスト二ホンのミッドソールはマイクロGとチャージドフォームを搭載し、高反発なクッション性を実現しています。クッショニングは若干硬いかなとも感じましたが、高反発ならではの反発力だとすれば、あとは慣れ。疲れなどは感じなかったので、優れたミッドソールといえます。

そしてもっとも気にかけていたのがラバーのグリップ力。滑るバッシュだけは履きたくないので、細心の注意を払って確認したのがグリップでした。この項目も◎。“ラバーはアシックス”と認知してきたので、アンダーアーマーのラバーがどれほどかと、期待半分不安半分でした。ネクスト二ホンは“止まるバッシュ”ということで一安心。

日本人の足のために生まれたアイテム

ネクスト二ホン-アンダーアーマー-日本人向け

アンダーアーマーのバッシュは今回が初めてですが、ネクスト二ホンのファーストインプレッションは◎。違和感や痛みなどはなく、足に合わない場合によくあるストレスなどもまったく感じませんでした。

今後の選択肢として、まずはバッシュ選びの入り口であるメーカーが、アシックスとアンダーアーマーの二択となりました。

  • 私見による性能比(NN=ネクスト二ホン、GB21=ゲルバースト21)
項目NNGB21短評
グリップNNのグリップ力も秀逸
クッション◎+NNのクッショニングは高反発
重量どちらも軽量(約380~390g)
アッパーNNは通気性と柔軟性が良好
フィット感NNのワイドラスト設計が秀逸
サポート感GB21は合成樹脂のアッパーに安心感

written by 空リュウ

【小説】折原一「異人たちの館」を読んだ感想・私見(考察)

折原一-異人たちの館-感想・考察

1993年に書下ろしの単行本として刊行された折原一「異人たちの館」。

本作は、初版の単行本以降、二度文庫化されています。さらに二度目の文庫化から14年の時を経て2016年に三度目の文庫化。文春文庫版のあとがきで著者も語っているように、著者渾身の“マイベスト”でありながら、発行部数は決して多くはないようです。

2018年本屋大賞発掘部門の「超発掘本!」に選ばれたことからも、本作「異人たちの館」の知名度はさらに上がりました。

不朽の名作として名高い本作の叙述トリックは、いくつかの要素が織り交ぜられ、ミスリードを誘発する精巧なプロットのうえに成り立っています。作中作によって本編の現在と虚構の境界を混濁させ、さらに過去実際に起きた事件のアレンジ版を描くことで、読み手が先入観を抱くように巧妙に導いています。

以下はあくまで私見ですが、本作の醍醐味を突き詰めるべく、読了前提としてネタバレで考察しています。

プロットの緻密さが際立つ多重文体、叙述トリックの名作「異人たちの館」

本作は、行方不明になった小松原淳の伝記を残そうと、淳の母・妙子が島崎潤一にゴーストライティングを依頼したことが起点となって展開されています。

主人公役のフリーライター・島崎潤一は、純文学の新人賞を受賞したこと以外特筆するものがない、冴えない人物。その一方で、依頼者側の小松原家の面々はどれも特異な人物像で描かれています。小松原家の人物を際立たせるために、対比として島崎潤一の人物像をごくごく普通に印象づけているかのような描写。小松原家の中でも、とりわけ小松原妙子は、読み手に不気味な人物として印象を与えます。

折原一-異人たちの館-感想・考察

小松原一家を含む全体の人物相関からも推察できますが、本作を読み終えて感じることの一つに、相当な時間を費やしたに違いないプロットの緻密さがあります。練りに練られた構成であることを、人物相関に張られている伏線の数と、頻出するテキスト(多重文体)の量が物語っています。子連れ同士の結婚でありながら実は血のつながった関係であることや、父・譲司の正体、淳と島崎の相関など、人物相関にもあらゆる要素が詰め込まれています。作中では、とにかく地の文以外のテキストが多く、独白、短編小説、年譜、関係者インタビューなど、頭の整理がつかないうちに、次から次へと新手の叙述が読み手を揺さぶってきます。

インパクトを与えるもう一つの要素が、過去に実際起こった事件のアレンジ版を作中に登場させている点。大雪山SOS遭難事件と東京埼玉・幼女連続殺人事件を彷彿とさせるストーリーは、現実の過去にタイムトリップさせる十分な効果があります。とりわけ、樹海遭難者の“HELP”文字、幼女連続殺人犯を匂わせる“今田勇子”という偽名は、現実世界の過去とも時空をつなげる効果を担っています。

折原一-異人たちの館-感想・考察

さらに、作中の過去と現在を混濁させる別の要因として“異人”の存在があります。関係者インタビューから浮かび上がる異人が、本編の現在にも存在することから、その正体が誰なのか、読み手は惑乱し、揺さぶられ続けます。ドイツ人貿易商が建てた洋館という設定にも不気味さが漂っていますが、その地下室で異人が登場するシーンなどはホラーに近い描写で綴られ、この人物を強烈な印象として残すことにも成功しています。

現在と虚構の境界を混濁させる多重文体

折原一-異人たちの館-感想・考察

独白以外にも頻出しているテキストの数々。中でも小松原淳が幼少期に書いたとされる短編小説は、作中で実際に起きた事故(事件)を綴っているかのように読み手の先入観を導いていきます。読み手は、この内容が事実なのか虚構なのか分からないまま、次から次に登場する短編小説の描写に惑わされます。

多重文体の一つである小松原淳の関係者へのインタビューも、浮かび上がってくる過去を謎多く描いています。淳の妹・ユキの周辺で起きた幼女連続殺人事件、淳の周辺で起きている数々の不審死、不審死に関与しているかのような異人の存在、地下室で目撃された黒い影、徐々に異変を感じさせはじめる淳の言動など、あらゆる手法で伏線を張ってきます。これらの伏線については、あえて謎解きをするよりも、むしろ著者の思惑に身を任せて騙されるほうが回収の醍醐味を味わえます。

そして、本作の挿入歌のように所々で登場する童謡・赤い靴の歌詞“異人さんに連れられて”。小松原妙子が口ずさみ、異人の存在がちらつく要所でもテキストがインサートされています。BGM的な役割でも使われていることから、この旋律が効果的。本作の多重文体の中で、このテキスト(歌詞)だけ特異な用途で使われていますが、著者の巧みな技法の一つとして印象に残ります。

独白(モノローグ)が担う叙述トリック

折原一-異人たちの館-感想・考察

全4章、計600ページ超の長編ストーリーに、計10回挿入されている独白。冒頭モノローグ1の文中に「こまつばら」という独白が記述されていることから、読み手はこの独白が小松原淳のものであることを連想します。

本編で小松原淳が過去に西湖界隈の樹海を訪れていることからも、この独白は小松原淳の独白であると読み手にミスリードさせる役割を担っています。

読み手としては、おそらくこの独白はラストでつながってくるのであろうという推測が立ちますが、一方で読み進めていくうちに、この独白の人物は小松原淳ではなく島崎潤一ではないか、という憶測も頭をよぎります。

ラストまでこの独白は小松原淳のものだと思い込んで読み進められた場合は、それなりの衝撃を得られるはずです。もしラストにたどり着く前に、この独白が島崎潤一のものであると気づいた場合でも、本作のプロットの精巧さに感服するのではないでしょうか。

written by 空リュウ

異人たちの館 (文春文庫) 折原 一
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【充電器】ダイソーの500円モバイルバッテリー(3,000mAh)は使える?

ダイソー-モバイルバッテリー-500円3000mAh

大容量モバイルバッテリーが主流となっているスマホ市場。ダイソーが一石を投じている500円「3,000mAhモバイルバッテリー」は、はたして使えるツールなのか。

500円という価格設定は魅力的ですが、その性能はどれほどのものなのか、XperiaXZ(2,900mAh)を使って検証してみました。

関連記事-アシックス-グリップ抜群ジャパンL-生産(製造)終了関連記事:【スマホ充電器】ダイソーの2A急速充電器(300円)は使える?

ダイソー製500円3,000mAhモバイルバッテリーの性能は

手頃な価格で売られているモバイルバッテリーは、Amazonや楽天などでもよく見かけます。一般的にリチウムイオン電池内蔵のモバイルバッテリーは、出力を「3.6(3.7)→5V」に昇圧する必要があるため、額面通りのパフォーマンス(充電可能容量)を発揮することはまずありません。おおむね60%程度の充電能力があれば合格とみなしたほうが良いでしょう。

ダイソー製500円モバイルバッテリーは3,000mAh/5V-1A/1ポート

ダイソー-モバイルバッテリー-500円3000mAh

パッケージを開けると、モバイルバッテリー本体のほか、MicroUSBケーブル(約12cm/Type-B)と取扱説明書が入っています。取説に記載されている内容は以下のとおり。

容量 3,000mAh
出力 5V1A / 入力 5V1A
保護回路設計(過電圧/過電流/過放電)
使用環境 -10℃~40℃
蓄電時間 約4時間

モバイルバッテリーのサイズは、実寸で69mm×117mm×9mm(約100g)という軽量モデル。キャッシュカードより二回りほど大きいサイズ感で、持ち運びには便利な印象です。

ただ、出力/入力共に5V1Aなので、急速充電には対応していません。また、Type-Cのスマホの場合、付属のMicroUSBケーブルでは充電できないので、別途Type-CのMicroUSBが必要です(またはType-Cのコネクタを接続するなど)。

4段階LEDランプで電池残量を表示

ダイソー-モバイルバッテリー-500円3000mAh

モバイルバッテリー本体のサイドにあるボタンを押すと、電池残量がLEDで表示されます。

残量表記は、4メモリ100%換算で、それぞれランプ1で0~25%、ランプ2で25~50%、ランプ3で50~75%、ランプ4で75~100%とのこと。

充電は、MicroUSBケーブルを接続して、サイドボタンを押すと開始になります。

個人的には、この4段階LEDランプは、500円モバイルバッテリーとしては良心的かつ十分な機能と感じます。

ダイソー製500円モバイルバッテリーの充電能力は約1,770mAh

ダイソー-モバイルバッテリー-500円3000mAh

以下は、ダイソー製500円モバイルバッテリーをフル充電し、電池残量5%になったXperiaXZ(2900mAh)を充電した結果です。

  • XperiaXZ電池残量5%から充電開始
  • XperiaXZ電池残量66%でモバイルバッテリーの全メモリ消灯
  • 約61%充電(約1,770mAh相当)
  • 充電時間 約90分

額面3,000mAhのモバイルバッテリーとしては、1,770mAhは約59%ですが、目安となる60%のパフォーマンスをクリアしていると考えても良いでしょう。

数値から判断すると、ダイソー製500円モバイルバッテリーは、緊急用として十分使える製品です。参考まで、1,770mAhは、iPhone5であればフル充電できる容量です。

また、軽量でスペースを取らないという点も、持ち歩きには不満を感じません。

放充電サイクル数(耐久性)には疑問符

フル充電後、使っていない期間が長くなると、放電されて充電残量が0になります。ダイソー製500円モバイルバッテリーはその傾向が顕著。数日放置していると、急激に放電されています。

また、繰り返し使用した体感としては、その耐久性にも疑問符がつきました。計10回もフル充電していませんが、ダイソー製500円モバイルバッテリーをフル充電後、残量が20%以下になったXperiaXZを充電しても前述の性能からは明らかに劣化。瞬く間にモバイルバッテリーの残量が0になり、その機能を果たしていません。

応急処置のツールとしては安価で使えますが、常用のツールとしてはサブ的に持っておくという使い方になりそうです。

written by 空リュウ

関連記事-アシックス-グリップ抜群ジャパンL-生産(製造)終了関連記事:【スマホ充電器】ダイソーの2A急速充電器(300円)は使える?

Anker PowerCore (10000mAh 大容量 モバイルバッテリー)
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【Xperia】アプリの無効化(電池長持ちのコツ)

Xperia-Androidアプリ無効化

バッテリーの長寿命化を実現させたXperia X/XZシリーズ。

いたわり充電の導入などでバッテリーは保護されていますが、一方で、電池の持ちが悪いという評価も多く聞かれます。事実、デフォルトの状態では不要な機能がバックグラウンドで動作しているため、これらを停止させない限り、無駄に電池を消耗し続けます。

ドラマ-リバース-湊かなえ-藤原竜也-感想-第1話関連記事:【Xperia X/XZ系】バッテリーの減りが早い?(電池長持ちのコツ)

とりわけ、(プリインストールされている)不要なアプリをアンインストールする作業は必須。さらに、アンインストールできないアプリは無効化して停止させます。この設定をしない限り、Xperia X/XZシリーズのバッテリー残量はあっという間に減っていくでしょう。

Xperia X/XZ(Android)端末で無効化すべきアプリ

無効化する前に、まずは不要なアプリをアンインストールします。無効化は、あくまでアンインストールできないアプリへの対処です。

不要アプリのアンインストールが完了したら、「設定→アプリと通知→アプリ情報」でアプリの一覧を表示させます。このとき、右上の「…」から「システムを表示」を選択して、すべてのアプリを表示させます。

Xperia-Androidアプリ無効化

「無効にする」のボタンをタップすると、「このアプリを無効にすると、関連性のある他のアプリが正常に動作しなくなったり、システムが不安定になる場合があります」というアラートが表示されますが、かまわず「アプリを無効にする」をタップします。

アラートが示すような症状はまず出ませんが、万が一そのような症状が出た場合は「有効にする」をタップすれば再び動作させることができます。

参考まで、auのWebサイトには以下の表記があります。

アンインストールできない一部のアプリやサービスを無効化することができます。無効化したアプリはアプリ画面に表示されず、実行もされなくなりますが、アンインストールはされません。

  • アプリを無効化した場合、無効化されたアプリと連携している他のアプリが正しく動作しないことがあります。再度有効化することで正しく動作します。

アプリの無効化(対象アプリ一覧)

以下は電池の減りを抑えるために、個人的に無効化させたアプリの一覧です※。Xperia XZ(au/Android8.0)を例にピックアップしていますが、その他のAndroid端末でも類似のアプリが対象になるはずです。

※使用しているアプリは無効化すると使えなくなります。ふだん使っているアプリは無効化せず、“使わないアプリ”を無効化します。

アドレス帳プラス
あんしんフィルター for au
ウィキペディアプラグイン
うたパス
カーナビデータ通信設定
カレンダー
カレンダーの保存
クリエイティブエフェクト
シンクコール
セットアップウィザード
セットアップガイド
ドキュメント
ドライブ
ニュースパス
ビデオ(Xperia)
フォト
フォトスライドショー
ブックパス
ブックマークプロバイダー
ベーシックスリープモードアプリ
ホームネットワーク
マーケットフィードバックエージェント
ミュージック
中国語キーボード
通話履歴のバックアップと復元
天気
歩きスマホ注意アプリ
ARエフェクト
auウィジェット
auかんたん設定
auシェアリンク
auテレビGガイド
au通信品質レポート機能
Exchangeサービス
Googleバックアップトランスポート
Google One Time Init
Google Play Music
Google Playムービー&TV
Googleテキスト読み上げエンジン
Googleパートナーのセットアップ
Google™歌詞プラグイン
Hangouts
Lookout for au
Movie Creator
Music Player(LISMO)
SATCH
TalkBack
Wowma! for au
Xperia™カメラアドオン
Xperia™のヒント
Xperia™の紹介
Youtubeカラオケプラグイン
Youtubeプラグイン

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関連記事:【Xperia X/XZ系】バッテリーの減りが早い?(電池長持ちのコツ)

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Anker PowerCore (10000mAh 大容量 モバイルバッテリー)
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【小説】真梨幸子「5人のジュンコ」エピソード0を考察

真梨幸子-5人のジュンコ-考察

イヤミス作品として名高い真梨幸子「5人のジュンコ」(2014年刊行)。

2015年に、WOWOW連続ドラマW「5人のジュンコ」(主演・松雪泰子)で映像化もされています。

本作にふれて読み手がまず最初に感じることは、登場する人物が見事なまでに他者を蔑んでいるという点。そのネガティブな視点の描写は、読み手に不快感を増幅させるのに十分な効果があり、それがイヤミス作品として名高い所以でもあります。

そして、本作のテーマとして描かれている「バタフライ効果(エフェクト)」は、5人のジュンコを不幸へ誘う負の連鎖。

※些細なことがあることをきっかけに後に大きな影響を及ぼす連鎖的な現象。

連続不審死事件の被疑者(容疑者)・佐竹純子から端を発し、「ジュンコ」という名で連鎖する人間の不幸を陰鬱とした表現で描ききっています。

以下は、エピソード0およびエピソード0に連鎖する各エピソードを検証するため、ネタバレ前提で考察しています。

バタフライ効果(エフェクト)で連鎖する「5人のジュンコ」

主に5人のジュンコを負の連鎖へ誘っているのは、佐竹純子が被疑者となっている連続不審死事件ですが、実際は5人が直接的に相関しているわけではありません。バタフライ効果をテーマとしていることからも間接的な相関となっています。

展開の中心になっているのは、佐竹純子が起こしたとされる連続不審死事件を追っているノンフィクション作家・アシスタントの田辺絢子。

田辺絢子は取材を通じて篠田淳子と守川美香(諄子の娘)に接触していますが、唯一、福留順子だけが5人のジュンコの中でもっとも遠いところに位置し、バタフライ効果の末端の役割を担っています。

これは、ある意味、バタフライ効果、つまり、この世の中のすべてはなにかしら影響しあっている

福留順子自身に、作中でバタフライ効果を想起させることで、5人のジュンコの連鎖を暗示しています。

エピソード5 佐竹純子と篠田淳子

真梨幸子-5人のジュンコ-感想・考察

エピソード0を考察するうえで、重要になってくるのが佐竹純子と篠田淳子の関係性です。

以下は、いずれもエピソード5・佐竹純子の章で、佐竹純子が語っているセリフ。

“篠田淳子のことも、ちゃんと調べた?”

”私の腹心の友。私とは一心同体だった子よ。あの子に影響されて、今の私があるといってもいい。だから、篠田淳子のことを調べれば、おのずと私のことも分かるはず”

作中では、取材を進める田辺絢子の視点で、「佐竹純子と篠田淳子は、佐竹純子を主とし、主従関係にあったのでは」と読み手をリードしています。

田辺絢子が取材をした同級生のミツエも「元凶は佐竹純子」と語っているように、佐竹純子はひと癖ある人物であることは間違いないようですが、エピソード0で明かされる篠田淳子の実像を考察すると、ミツエの篠田淳子評と田辺絢子の見解は、いずれも見当違いという可能性が高くなります。

エピソード1 篠田淳子の独白

真梨幸子-5人のジュンコ-感想・考察

エピソード1は篠田淳子の章ですが、本作で唯一、篠田淳子の章だけがすべて一人称の視点で語られています。

つまり、相手のセリフこそあるものの、エピソード1で描写されている地の文は、ほぼ篠田淳子の独白です。

エピソード1の篠田淳子の独白は、佐竹純子という人物に特定の色をつけさせる役割を担っていると考えられます。

そのため、エピソード1の独白は、篠田淳子が客観的な事実を語っているとは限らず、すべてを鵜呑みにすることはできません。どこかで脚色している可能性があり、客観的な事実は別のところにあるのかもしれません。特に過去についての独白は、すべて自己都合の主張という可能性さえあります。いわゆる、「信頼できない語り手」です。

そう考えると、ピソード5で佐竹純子が発した“あの子に影響されて、今の私があるといってもいい”という告白のほうが真実味があります。仮に、“篠田淳子のことを調べれば、おのずと私のことも分かるはず”という助言の裏をとる描写があったとしたら、それが真実なのではないか、と考えます。

エピソード0 3つめの殺人事件

真梨幸子-5人のジュンコ-感想・考察

エピソード0は、エピソード1と同様、地の文が一人称の独白形式で語られています。

エピソード0を考察するうえで切り離せないのが、エピソード3の守川正志との相関(諄子の息子)。

田辺絢子は取材の過程で、守川正志が佐竹純子に殺害された可能性を追っていますが、これは結果的に誤った推察となっています。

エピソード5の佐竹純子の章で、守川正志殺害の被疑者となっている大野美登里も初公判の冒頭陳述でこれを否定し、真実を知っているであろう佐竹純子も同じく否定しています。

これによって、守川正志殺害の事件は、佐竹純子が被疑者になっている伊豆連続不審死事件、大野美登里が被疑者になっている守川茂(諄子の夫)・美香殺害事件とは別の事件とみなせます。

そして、エピソード0で描写されている佐竹純子の声と思われるセリフによって、守川正志を殺害したのは篠田淳子であることが推察できます。

また、複数の男性から金銭を搾取したのは篠田淳子であることが暗示されていることからも、本作でフィクサーとなっているのは篠田淳子ということがうかがえます。

written by 空リュウ

ドラマ-リバース-湊かなえ-藤原竜也-感想-第1話関連記事:【連続ドラマW】「5人のジュンコ」を観た私見・感想


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