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投資家ロバート・キヨサキの著書「金持ち父さん貧乏父さん」(初版2000年刊行)。本作は、全世界で3,000万部を突破した大ベストセラーのビジネス書として広く知られています。
日系四世のロバート・キヨサキは、投資家でありビジネスも成功させた実業家。公認会計士の妻との共著で本作を出版しています。
できるだけ若いときに読んだほうがいいといわれる一冊ですが、著者が啓発する「お金に対する考え方」は一般的な観念を覆すインパクトがあります。ただ、個人的には、必ずしもすべてを受け入れる必要はなく、取捨して消化することで個々の良作となり得ると考えます。
金持ち父さんが教える「お金を自分のために働かせる方法」とは
本作は著者の幼少期のエピソードをはさみながら、お金に対する考え方を啓蒙しています。挿入されているエピソードは、金持ちの考え方を“金持ち父さん側の流儀”とし、中流以下の人の考え方を“貧乏父さん側の流儀”としてわかりやすい表現で掲示しています。
金持ち父さんは友人マイクの父親、貧乏父さんは実の父親という設定は、読み手に対する訴求力としてこのうえない効果を生んでいます。
「お金のために働くのではなく、お金を自分のために働かせるのだ」という掲示をどう解釈するかで、本作の評価はまったく異なるものになるでしょう。
以下は作中の描写を引用しつつ、金持ち父さんの持論を私見で考察しています。
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ラットレースから抜け出すために
本作で頻出するキーワード「ラットレース」。貧乏父さん側を形用しているワードですが、いくつか登場するワードの中でももっとも記憶に残るもののひとつ。
ラットレースとは、いわゆる“会社のために”働き、“利益を生まない”資産(負債)の支払いに日々追われ、あたかもそれが人生のセオリーであると思い込んで生活し続けている状態を指しています。
「朝起きて、仕事に行き、請求書を支払う、また朝起きて、仕事に行き、請求書を支払う……この繰り返しだ。そのあとの彼らの人生はずっと恐怖と欲望という二つの感情に走らされ続ける。そういう人はたとえお金を多くもらえるようになっても、支出が増えるだけでパターンそのものは決して変わらない。これが、私が『ラットレース』と呼んでいるものなんだ」
「金持ち父さん貧乏父さん」筑摩書房 P67抜粋
ラットレースから抜け出すためには、頭をつかってお金を生み出す方法を考えないといけないと金持ち父さんは語っています。また、金持ちになりたければ、お金について勉強しないとお金は出ていくばかりだ、とも。
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資産と負債の違いを知る
本作で金持ち父さんが教える“一般的な観念との決定的な差異”ともいえるのが、「資産と負債の違いを知る」という訓示です。
大方はまず金持ち父さんのこの着眼点にインパクトを受けるでしょう。(一般的な観念で)資産だと思って購入したものが実はそれは資産ではない、と指摘されれば当然です。
金持ちは資産を手に入れる。中流以下の人たちは負債を手に入れ、資産だと思いこむ
「金持ち父さん貧乏父さん」筑摩書房 P92抜粋
作中では、数字の入っていないシンプルな損益計算書と貸借対照表を例として挙げ、金持ち父さんの持論を展開しています。
端的に示した要点としては以下がもっともわかりやすい一文。
資産は私のポケットにお金を入れてくれる
負債は私のポケットからお金をとっていく
「金持ち父さん貧乏父さん」筑摩書房 P96抜粋
利益を生むものが資産、単純に支出でしかないものは家であろうが車であろうがすべて負債。逆に、同じ不動産でも損益計算書の売上高として計上できる(利益を生む)不動産の購入などは資産という扱いです。
仮に出世して収入が増えたとしても、そのぶん支払うべき所得税が増え、さらにクレジットカードなどの支出も増加すれば、それは本作では“貧乏父さん”ということになります。
一方、金持ちになるためには、資産と負債の違いを知り、支出を抑えながら(利益を生む)資産に投資することが最善の道だと語られています。
自分のビジネス(本当の資産)を持つ
中流以下の人の大半が「余裕がないから危険を冒せない」という理由でいまの仕事にしがみついているしかない、という例えは至極もっともです。
金持ち父さんは「収入のあるいまの仕事を続けつつも、利益を生む“本当の資産”を得るために、“自分のビジネス”を築くべきだ」といっています。
「自分のビジネス」とは、たとえば株式投資であり、不動産投資、または著作権ビジネスなどの権利収入など、自分がその場にいなくても利益を生み出すビジネスを指しています。
つまり、いまの仕事で蓄えたお金で負債(利益を生まないもの)を買う前に、まずは「自分のビジネスに投資し、その自分のビジネスから得た利益で(キャッシュフローが潤ってきたときに初めて)ご褒美としてぜいたく品(車など)を買うべきだ」というのが金持ち父さんの教えです。
中流以下の人は「自分のビジネスへの投資は危険が多すぎる」という理由で敬遠しがちだと指摘しています。しかし、危険なのは投資そのものではなく、「お金に関する知識(ファイナンシャル・インテリジェンス)が不足していることが危険なのだ」と、作中で金持ち父さんは一貫して持論を展開しています。
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ファイナンシャル・インテリジェンスを学ぶ
前述のとおり、金持ち父さんがとりわけ強調しているのが「ファイナンシャル・インテリジェンスを身につけなさい」という点です。これはつまり、「お金に関する知識を習得しなさい」ということ。ひいては、それがラットレースから抜け出すことにつながると語っています。
金持ち父さんがいうには、ファイナンシャル・インテリジェンスは4つの専門的分野の知識から成り立っているとのこと。
- 会計力……ファイナンシャル・リテラシー(お金に関する読み書き能力)。数字を読む力。
- 投資力……投資(お金がお金を作り出す科学)を理解し、戦略を立てる力。
- 市場の理解力……需要と供給の関係を理解し、チャンスをつかむ力。
- 法律力……会計や会社に関する法律、国や自治体の法律に精通していること。
要約して羅列するとむずかしく感じますが、これらは、「お金に対してより多くの選択肢をもって合法的かつ合理的に対処できるようになりなさい」という掲示。それは目の前に巡ってきたチャンスをいかにつかみとるかということでもあり、自分の経済状態を好転させるためには何が必要かを考えることでもあり、お金に関する問題を解決するために創造力を働かせることでもあります。
ファイナンシャル・インテリジェンスを習得してラットレースから抜け出したいと考えている人は、失敗を恐れてはいけないというのが金持ち父さんの持論です。失敗(損失)は必然であり、失敗から多くを学ぶという、いわば啓蒙としては至極当然な教えにもふれています。
失敗から学ぶ意思がない人や損失を恐れる人、またはリスクをとりたくない人は、金持ち父さんの教えを実践する必要はないでしょう。個人的にはそれらを否定するつもりはありませんし、むしろ、共感するところがない人にとっては、本作でいう貧乏父さんの道を歩んだほうが幸いなのかもしれません。
written by 空リュウ
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