【2017WBC】1次ラウンド「日本VSキューバ」│混迷の継投

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WBC2017-日本VSキューバ戦

2017年3月6日、第4回ワールドベースボールクラシック(WBC)が開幕しました。

日本の初戦は、3月7日のキューバ戦。

日本の打線がつながり、大量11得点をあげ、11-6で何とか逃げ切りました。5点の点差はありますが、快勝というよりは辛勝という印象の内容でした。

WBCの緊張感が漂う初戦の攻防「VSキューバ」

日本の先発は安定感抜群の石川(ロッテ)。

2016年パリーグ最優秀防御率(2.16)、与四球率パリーグ1位(1.55/全体1位は菅野の1.47)、1イニング当たりの球数(15.2球)がパリーグ2位(1位は有原の15.19球)など、精度が極めて高いことを示す数値を数多くもっています。

今回のWBCでは、石川と菅野(巨人)が投手陣の柱です。

ピンチのあとのチャンス

WBC2017-日本VSキューバ戦

1回表、後攻の日本は、内野安打とエラーでいきなりのピンチでしたが、セカンド菊池(広島)の好守などもあり、初回を0点で切り抜けました。キューバとしては先制して優位に進めたかったはずですが、失点せずに凌ぎきったことが日本にとっては大きかったと思います。

そして“ピンチのあとにチャンスあり”の格言そのままに、その裏の攻撃で、3番青木(アストロズ)のレフトフェンス直撃2ベース、4番筒香(DeNA)のタイムリーで日本が先制。キューバの先発エンテンザの立ち上がりにつけ込むことができました。

東京ドームの打球はよく飛ぶとはいえ、メジャーリーガー青木の打球は思ったより飛距離が出たように感じます。青木の野球センスは群を抜いているということは誰もが認めるところですが、このシーンでもさすがの一打でした。

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中盤の大量得点でイニシアティブを

WBC2017-日本VSキューバ戦

3回表に犠牲フライで同点に追いつかれましたが、4回裏1番山田(ヤクルト)のあわやホームランというタイムリー2ベースで勝ち越しに成功。

先発石川も140キロ台後半のストレートに、縦に割れるカーブとシンカーをうまくおりまぜ、崩れることなく4回を1失点で抑えました。石川は投球のテンポも良く、コントロールの精度もかなり高いため、見ている側にも安心感があります。

この試合、ゲームが大きく動いたのは5回裏の日本の攻撃でした。

1アウト後、四球で出塁した中田(日本ハム)がバッテリーの隙をついて二盗を決めると、6番坂本(巨人)のタイムリー2ベース、8番松田(ソフトバンク)の3ランホームランなどで一挙5得点をあげる猛攻。日本はこのビッグイニングによって、初戦のイニシアティブを握ることができました。

とりわけ、この日の8番松田の勢いは凄まじく、5打数4安打4打点の活躍。乗らせるとこわいバッターであることを改めて痛感しました。味方にいればこの上なく心強い選手です。

今後に不安の残る継投策

WBC2017-日本VSキューバ戦

石川のあとを受けたのは楽天のエース則本。5回、6回を一人のランナーも出すことなく抑えましたが、7回に先頭打者のデスパイネ(ソフトバンク)にソロホームランを打たれてから崩れました。

7回頭から継投するという選択肢もあったと思いますが、ベンチの判断は“則本でいけるところまでいく”だったようです。

継投か否かの判断はさておき、則本の交代の判断がいまひとつ。4番デスパイネに打たれた一発は仕方ないとして、続く5番、6番に連打を浴びたところで交代だったように思います。2点タイムリーも打たれ、冷静さを欠いて投げ続ける則本が痛々しく映りました。点差があったからそのまま投げさせたのだろうと思いますが、ベンチワークに機先を制する決断力が欠けているように感じます。

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則本のあと3番手でマウンドに上がったのは岡田(中日)。ワンポイントでしたが、無難に後続を封じ、7回のキューバの攻撃を3点で抑えました(7回表終了時点で7-4)。岡田のマウンドさばきは良かったと思います。

さらに、続く8回も不可解な継投がみられました。7回裏に筒香の2ランホームランが出たことで9-4となり、点差が広がったこともベンチの判断に影響を及ぼしているかもしれません。

8回からマウンドに上がったのは平野(オリックス)。1アウトを取ったあと、四球とヒットで一、二塁とされ、続くバッターを内野ゴロに抑えて2アウト2、3塁。このタイミングで継投でした。平野のあとを受けたのは、WBC開幕前、小久保監督がクローザー候補一番手と公言していた秋吉(ヤクルト)。

WBC2017-日本VSキューバ戦

ここでクローザーを出すのであれば、最終回も続投させるつもりなんだろう、とふつうは推測します。そもそも、クローザーは最終回の頭からマウンドに上がるのが一般的な起用法のため、8回2アウトからの起用にまずは疑問符がつきます。この日のテレビ中継の解説陣も一様に首をかしげている様子。準備ができていたのか不明ですが、秋吉はタイムリーを打たれ、日本は失点を重ねてしまいました(8回表終了時点で9-6)。

多くの人が、9回も秋吉なのだろう、と予想していたと思いますが、最終回のマウンドに上がったのは牧田(西武)でした。クローザーを任される身からすると、大会前から前もって心の準備をしたいはずですが、首脳陣から牧田にどのタイミングで意向が告げられていたのかは不明です。

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このケースでの継投としては、秋吉から牧田よりも、牧田から秋吉のほうが適任だったのではと思います。ロングリリーフのできる牧田を先に使うことで、調子の如何で9回も続投させるという選択もとれます。

試合後の小久保監督は、秋吉のあと牧田を起用したことについて「今日に限っては予定通りです」と語っています。短期決戦において、その時どきの選手の調子をみて起用法を変えていくというのは重要だと思いますが、臨機応変に対応しているというよりは、何となく場当たり的に試しているような印象を受けてしまいます。

権藤ピッチングコーチの意向もあるはずで、監督一人だけの判断ではないと思いますが、継投の不安は拭えきれません。ベンチの判断がブレると、選手のモチベーションにも影響するため、意思統一をはかってチームとしての方向性を明確にしてくれることを願います。

  1  2  3  4  5  6  7  8  9 
キューバ 0  0  1  0  0  0  3  2  0 6113
日本 1  0  0  1  5  0  2  2 ×11141

【勝】石川 【負】イエラ
【本】[日本]松田(1号)、筒香(1号) [キューバ]デスパイネ(1号)

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written by 空リュウ

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