【2016パ制覇】北海道日本ハムファイターズ11.5差からの逆転劇

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2016北海道日本ハムファイターズ-パリーグ制覇

北海道日本ハムファイターズ、2016年パシフィック・リーグ制覇。

最大11.5のゲーム差をひっくり返し、記録はもちろんのこと記憶にも残るシーズンとなりました。“シーズン最速でマジック点灯か”ともいわれていたソフトバンクに追いついたのは驚愕の一言。

近年のファイターズはパリーグ上位争いの常連チームになっています。ここ数年の成績だけを見れば、“投手力があり、若い選手が主体でチームとしてまとまっている”というイメージをもつ程度かもしれません。

しかし、Bクラス低迷時期から地道にチーム力を上げてきた礎があっての今があります。

ビッグバン打線といわれ注目された時代があり、北海道に移転し地域に根ざした球団経営の成功、BOSとよばれる統計的情報システムを先行導入、また、積極的なトレードの実施。ドラフトで獲得した資質のある選手を育て、日本野球に順応できる外国人選手も数多く契約しました。積み重ねた実績が実って、現在のチームが形成されています。

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奇跡を起こしたいくつかの軌跡

2016年の大逆転優勝の要因は、個々の成長に加え、不測の事態における英断が奏功したといえるでしょう。シーズン中のアクシデントはつきものですが、一見マイナスとも思えることも結果的にプラスに転換しました。首脳陣が下した判断に選手が見事応え、それらが好結果につながりました。

超一流の二刀流に

北海道日本ハムファイターズ-大谷翔平-11

2014年
234打席│212打数│58安打│10本塁打│31打点│21四死球│打率.273│長打率.505│出塁率.338

2016年
382打席│323打数│104安打│22本塁打│67打点│54四死球│打率.322│長打率.588│出塁率.416

単純計算で、打撃機会が約1.5倍増えたことに対し、安打数、本塁打数、打点、四死球すべてがほぼ倍増しています。中でも長打率.588、出塁率.416は驚異的。長打率.588はスラッガーと呼ばれる数字に匹敵します。長打とは二塁打以上の安打(本塁打含む)のことを指しますが、大谷の場合、パンチ力もさることながら走力も兼ね備えていることが長打率アップにつながっています。単打を二塁打にできる足は大きな武器です。

2012年までファイターズに在籍し、身体能力が高く球界屈指の打者として知られている糸井の2016年成績(オリックス在籍)と比較しても何ら遜色がありません。

616打席│532打数│163安打│17本塁打│70打点│82四死球│打率.306│長打率.451│出塁率.398

しかも、ヒットを放つタイミングも効果的なシーンが多く、逆転、勝ち越しなど、ここ一番で点が欲しいときに打っています。進塁したベース上で自軍のベンチに向かってガッツポーズしているシーンを何度も見ました。

また、特筆すべきは天性の資質。193cmの長身で手足が長いですが、内角のボールに対しても肘をたたんで巧く打ちます。身体の使い方がとてもしなやか。おそらく、野球以外のスポーツをしても多くの競技で大成していたでしょう。マンガの世界から飛び出してきたかのようなスーパースターが、ファイターズに入団してくるとは、ファンも想像すらしていなかったことでしょう。

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守護神から先発ローテーションの一角へ

北海道日本ハムファイターズ-増井浩俊-7

ファイターズのリリーフ陣は抜群の安定感がありました。残した数字もリーグ屈指。特に2012年の増井は、登板数73、45ホールドを記録し、文字どおり大車輪の活躍をしました。シーズン終了後には、指揮官栗山監督も「増井には負担をかけてしまった」と回顧しています。

2016年開幕当初は順調なすべり出しに見えましたが、夏を前にして防御率6.30と落ち込み、それまでの安定感が影を潜めました。復調の気配も見えず、ついには一軍登録抹消。

本来の調子を取り戻せない守護神に、首脳陣が下した判断は先発転向という賭けでした。

この配置転換もまた奏功しました。2010年の入団初年度以来となる先発でしたが、先発転向後は6勝1敗、防御率1.10と抜群の成績を残しました。増井の先発転向が逆転優勝の要因の一つであることは明らかです。

30試合│10勝│3敗│10セーブ│1ホールド│完投2│完封勝1│勝率.769│投球回81.0│奪三振71│防御率2.44

勝率.769はチームへの高い貢献度を示し、防御率2.44はクオリティ・スタートの数値にも充当できます。さらに、9月には自身初の月間MVPも獲得し、ファンとしても忘れられないシーズンになりました。

また、増井の代役としてクローザーを務めたマーティンも、最終的に防御率1.07、2勝21セーブ19ホールドという文句なしの成績を収めました。この人選がハマったことも増井の先発転向に大きく影響しています。

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覚醒したリードオフマン

北海道日本ハムファイターズ-西川遥輝-7

西川が一軍に定着し始めた頃、“このポテンシャルのある選手、何かもったいないな”とよく感じたものです。秘めた能力はかなり高いものの、荒削りで本来の力がなかなか発揮できず、期待がふくらむばかりで歯がゆく感じていました。

個人的には、西川のスイングは綺麗な“扇”を描いているように感じます。ダウンスイングのバットの軌道がそう感じさせるのでしょう。

2015年
521打席│442打数│147安打│5本塁打│35打点│盗塁30│64四死球│三振98│打率.276│長打率.391│出塁率.368

2016年
593打席│493打数│155安打│5本塁打│43打点│盗塁41│76四死球│三振113│打率.314│長打率.398│出塁率.405

リードオフマンとしてフォーカスするのは出塁率の大幅な上昇。安打数、四死球の増加がそのまま反映されています。走力がある上にパンチ力も兼ね備えていることから長打率は高いバッターです。三振がやや多い傾向にありますが、この数字を減らし、より球を見極めて四球を増やせば、さらに出塁率はアップするはずです。

安打数に影響を及ぼす打球の方向については、レフト方向への意識が強くなっていることが伺えます。しかし、依然として“センターからライトへ強い打球を打てるバッター”という印象です。多くの左打者のリーディングヒッターがそうであるように、レフト方向にヒット性の強い打球が飛ぶようになれば首位打者も視野に入ってくるはずです。

常勝ファイターズを確立するには、このセンス溢れるリードオフマンのさらなる飛躍が鍵になる、と大きく期待しています。現状、チーム事情から一番を担っていますが、将来的には、三番を任せられるような打者に成長する可能性も大いに秘めています。かつてヤクルト・スワローズでチームを牽引し、MLBでコンスタントに良績を残した、青木宣親に匹敵する天性の野球センスがあると信じてやみません。

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written by 空リュウ

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