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東野圭吾作品の中で異彩を放っているサスペンス3作品
東野圭吾といえばミステリ、というイメージは強いですが、サスペンス系の作品も刊行されています。ほとんどの東野圭吾作品にふれていますが、その中でも異彩を放っている作品をピックアップしてみました。
現実逃避してスリルを味わいたいときにオススメできる、東野圭吾サスペンス3冊。
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ふみ込めない領域に挑んだスペクタクル巨編「天空の蜂」
“ビッグB”とよばれる大型ヘリを形容したタイトル「天空の蜂」。本作は1995年に刊行、2015年に映画化(主演・江口洋介)されています。
何者かの手によって、爆薬が積載されたビッグBが遠隔操作で奪われ、原発の上空でホバリングするという壮大なサスペンス。犯人が政府に対して要求したものとは──。
陰謀の裏で渦巻く原発に対する遺恨、政府側の非公式な思惑など、巧妙な構成でストーリーを展開していきつつ、同時に原発が抱える問題を世に投げかけた作品でもあります。
刊行されたのは1995年であり、2011年の福島第一原発の事故から遡ると15年も前の作品ということになります。事故を予見していた作品ではないか、という視点からも話題になりました。
工学系の専門用語が頻出するため、苦痛に感じる人も多いかもしれませんが、かなりの時間を取材に費やしたに違いない、その情報量と特異な世界は一読の価値があります。
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忍び寄る影が不気味に映るスリル&サスペンス「美しき凶器」
東野作品に時おり登場するマッドサイエンティスト。本作でも主要人物のひとりとして登場しています。
ある過去を闇に葬るためのミッションを発端に、トップアスリート4人に迫る大きく不気味な影。超人的な身体能力をもつタランチュラの一挙手一投足に、スピード感があり、スリルが増します。
ミステリ系東野作品に馴れ親しんだ感覚で読んでしまうと、意外な設定と構成に戸惑い、ページが進まない人もいると思います。ただ、本作の醍醐味は、現実離れした展開ではあるものの、隠された過去の事実と次々に起こる殺人に因果があるという点。そして、照準を定めたトップアスリートに迫るタランチュラの動物的な勘から得られるスリルです。そこに東野作品の面白さを見出せるのであれば、本作は楽しめる一冊になるはずです。
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特異な世界を描くSF時空サスペンス「パラドックス13」
「P-13」とよばれる超常現象によって、男女13人が異次元の世界に。そこは無人の首都東京だった──。
地殻変動や異常気象で徐々に荒廃していく地球の末期のような世界で、サバイバルの共同生活を送るという設定に、好奇心がかき立てられます。何の情報も得られない絶望的な異空間で、いわゆる公共のルールがなく、極限の精神状態に陥る人間の有り様などもリアルに描かれています。ページをめくるスピードも思わず早くなるのではないでしょうか。
別の側面からみると、「天空の蜂」が原発事故を予見していた作品とみるならば、「パラドックス13」は巨大地震や天変地異が日本を襲ったときのVR(バーチャルリアリティ)といえるかもしれません。視覚的に映画化も期待される作品だと思います。
written by 空リュウ
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